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SUS304より耐食性や加工性を強化したいときに選ぶ材料はSUS301?SUS316? それぞれの違いや特徴を解説します。

2024年8月19日

ばね用ステンレス鋼として多く使用しているのがオーステナイト系ステンレス鋼です。なかでも一般的に使用しているのがSUS304です。今回はさらに耐食性や加工性を強化したい時に選ぶSUS316やSUS301の特徴や違いについて説明します。ステンレス鋼の種類の詳細はこちらになります。

オーステナイト系ステンレス鋼について

オーステナイト系は、他のステンレス鋼に比べ耐食性に強く、靭性(ねばり強さ)があり、溶接に優れているという性質を持っています。そのためオーステナイト系は、全ステンレス鋼生産量の約60%を占めております。防錆を目的としたメッキをすることなく、様々な環境で使用することができます。ばね用ステンレス鋼の代表的な鋼種はSUS301・SUS304・SUS316です。

SUS304について

耐食性が良く、ばね用ステンレス鋼の代表的な鋼種として最も広く使われている材料です。SUS304の中でも主に下記2種類に分けることができます。

1.SUS304-WPB/SUS304-WPA
SUS304のなかで最も代表的な材料として扱われています。高強度を求めるならSUS304-WPBを選定することになります。SUS304-WPAとSUS304-WPBの違いは、引張強さが異なり、WPAは許容最大応力もかなり高く、繰り返し荷重に対する疲れにも好ましい特性を持っています。WPBは設計上引張強さ・耐ヘタリ性を要求されるバネには適当でありますが、厳しい成形加工などの靭性面ではWPAより若干劣ります。

2.SUS304L
「L」は炭素量が少ないという意味の、ローカーボンの頭文字を取っています。SUS304から炭素を少なくした材料です。炭素の含有量が少なく、更にニッケルの含有量も多いことから耐食性に優れた材料です。硬度が高くなりすぎないので、加工しやすい材料となっています。

SUS316とSUS316Lについて

SUS316は、クロム18%、ニッケル10〜14%、モリブデン2.5%を含有した磁性のないオーステナイト系ステンレスです。モリブデンを含有していることにより、他のステンレス鋼種よりも耐食性が大きく優れていることが特徴です。
SUS316LはSUS316よりも加工性と耐食性に優れています。SUS304L同様「L」はローカーボン(炭素量が少ない)という意味です。SUS316と比べ炭素量が少なく、焼きなまし状態の硬度が低く加工性に優れています。

SUS301について

SUS304と比較すると、クロムとニッケルを低減し炭素量が多いため、硬さが増した材料です。クロムが少ない分、耐食性はSUS304に比べると劣ります。主に板ばね材として鉄道車両に使用します。

上記以外にもばね用オーステナイト系ステンレス材はSUS302などあります。大阪にある栄光技研株式会社では上記で挙げていない材料でも取り扱っている場合がございますので、ステンレス鋼でお困りの方はぜひお気軽にお問い合わせフォームもしくはお電話でご相談ください。

(出典 ばね用ステンレス鋼(SUS301, SUS304, SUS304L) | 特殊金属エクセル
ステンレス鋼の種類
(参考文献:ばね 入門 日本ばね学会 日刊工業新聞社

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