圧縮ばねは、ばね部品の中でも最も広く使用され、多くの機械や器具に使用されている部品です。自動車やバイクについているサスペンションを例に圧縮ばねの役割や製造のポイントを詳しく紹介します。
実際に押しばねを製造している動画です。
目次
サスペンションについて
サスペンションは、日本語では 「懸架装置」 とか 「足まわり」 と呼ばれ、自動車やバイクの車輪を支え、衝撃を吸収する機構で、車輪を支えるサスペンションアームとばね、そしてダンパー(ショックアブソーバ)から構成されています。
サスペンションの役割は主に3点あります。
- 車両の重量を支える
- タイヤの動き方や位置を決める
- 路面からの力を吸収して車体やドライバーを保護する
つまり路面からの衝撃を伝えないように保護するもので、同時に自動車の操縦性と安定性に大きな影響を与える、きわめて重要な部分です。
(引用URL:サスペンションについて | 株式会社ヨロズ)
サスペンションに使用する圧縮ばねの役割
サスペンションに使用する圧縮ばねの役割は、車両の重量を支えることです。ばね定数により、車両の姿勢(上下方向の位置、地上高など)やタイヤの動く量が決まります。また路面からの力を吸収する役割も果たしています。その他サスペンションに用いられる圧縮ばねには、主に次の機能が求められます。
・弾性力
圧縮ばねは伸ばそうとすると縮む力が働き、縮めようとすると伸びようとする力が働き、この元の形に戻ろうとする力を弾性力と言います。自動車が凸凹道を走行する際に生じる衝撃は、ばねが縮むことによって吸収されます。元に戻る力である弾性力が弱ければ、圧縮ばねはゆっくりと元の形に戻ろうとするため、ふわっと柔らかく感じる乗り心地になります。
・耐久性
サスペンションに使用する圧縮ばねは自動車の操縦や安定性に大きな影響を与えるため、走行時の揺れの吸収や衝撃を和らげる以外に、長期間使用しても問題ない高い耐久性が求められます。
(出典:車のサスペンションやダンパーとは(種類・交換)|チューリッヒ (zurich.co.jp)
コイルスプリングとは?構造と車のサスペンションに多く採用される理由とへたりについて | ページ 2 / 2 | MOBY [モビー] (car-moby.jp))
圧縮ばねの設計ポイント
圧縮ばね(押しばね)は押して戻るという単純な動作をするばねですが、線径、内径(外径)、巻き数の3つの項目を調整すると、寿命や強度が大きく変わります。つまり設計する時に注意したいのは荷重と応力の計算です。
応力とは、ばねに荷重がかかった際に反発する力のこと。応力が高すぎるとばねが疲労しやすく、へたりが出来やすくなってしまいます。一度へたるとばねが変形して元の形に戻らなくなってしまいます。
栄光技研では、荷重や応力を設計する場合、部品の固定する位置に着目します。サスペンションのように繰り返し使用したり、固定する場所が決まっているばねなどは、設計の段階で応力を低く設計する必要があります。ただ使用状況により著しく変化することがあります。
また耐久性や弾力性を重視する場合は、材質から設計します。圧縮ばねの計算について詳しくはこちらのブログをご覧ください。
設計自由度が高いばねなので、通販サイト上でも多種多様な規格品が販売されています。試作を行いたい場合、規格品を購入し自社のばねを設計されるお客さまもいます。
圧縮ばねの「力が足りない」「もう少し強くしたり・弱くしたい」など調整をご希望の場合も、栄光技研株式会社では設計開発の段階から一緒にサポートさせていただきます。図面が無い、荷重が決まっていないという場合でも対応可能です。
ばねについてお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話でご相談ください。