ばね加工
2024年08月19日
ばねを使用する環境において材料が複数当てはまる場合は?環境別に材料のコスト・性能を比較!
ばね材料を選定するには、用途だけでなく使用環境も理解しておく必要があります。今回は、ばねを使用する環境の特徴と環境別にコスト・性能を比較した材料について紹介します。
目次
ばねを使う上で押さえておくべき4つの使用環境
ばねが適切な材料としてどのようなものが適しているのか、どのような用途にばねを使用するのか選ぶことは重要です。ばねを使用する環境を大きく4つに分けて説明します。
1.耐熱性・耐寒性
ばねを150℃以上の高温環境や-40℃以下の低温下で使う場合、耐熱性・耐寒性に優れた材料を選ぶ必要があります。主に自動車自動車のエンジン回りやクラッチ、排気系に用いられることが多く、また航空機エンジンタービーや火力発電プラントにも使われています。
2.耐食性・耐候性
日光や雨の当たるところや海水に触れるなどの環境でばねを使用する場合、耐食性・耐候性に優れたばねを選びましょう。ばねの表面が腐食や変質すると破断の危険性が高まります。主に水道の蛇口やガス栓にあるバルブに使われています。
3.耐薬品性
薬液を用いた洗浄や薬液処理などの薬液環境でばねを使用する場合、各薬品に対しての耐久性が必要となります。主に洗浄機や攪拌機に使われています。
4.磁気性
磁気センサーなどの検査で使用されるばねには、検査数値の異常を回避するために非磁性の材料を使用します。主にセンサーやコネクタ、端子に精密ばねが使われています。
4つの環境以外にも他に導電性や超弾性といった環境にもばねが使用されます。
ばね材料を選択するポイントは?
上記で述べた特性に合ったばね材料が複数ある場合は、性能とコストの観点から、どの材料を使用するか選択しましょう。
代表的なばね材料の性能とコストを一覧表にまとめましたので、ぜひ参考にご覧ください。
・性能 ◎良 〇普通 △時と場合による
・コスト ✖高い △ 普通 〇 少し安い
必要とされる特性 |
性能 |
コスト |
材料 |
耐食性・耐候性 |
△ |
〇 |
亜鉛・スズ・ニッケル |
〇 |
△ |
ステンレス鋼 |
|
◎ |
× |
コバルト基合金 |
|
◎ |
× |
チタン・チタン合金 |
|
耐熱性・耐寒性 |
△ |
◎ |
ばね鋼(ピアノ線、硬鋼線) |
〇 |
〇 |
ステンレス鋼 |
|
◎ |
× |
ニッケル基超合金 |
|
耐薬品性 |
〇 |
× |
チタン・チタン合金 |
◎ |
× |
ハステロイ |
|
磁気性・非磁性 |
△ |
〇 |
ステンレス鋼 |
〇 |
× |
コバルト基合金 |
高コストの材料ほど市場に存在する比率が少ないため、適用可能な寸法や入手までの期間などを十分に調べておくことが必要です。
栄光技研株式会社では、どのばね材を選択するべきなのか、また表に記載していない材料も取り扱っている場合がございますので、ぜひお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話でご相談ください。