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ばね材に使用するステンレス鋼の特徴と用途、ばね材に使用するときの注意点について解説します。

2024年8月8日

ばね材としても使用されるステンレス鋼は、10.5%以上のクロムと50%以上の鉄から成形されるので錆びにくいです。機械部品の材料としてさまざまな製品に使われています。例えば車の部品や家電、産業機械でもよく使われています。身近な製品としては、スプーンなどの食器類もステンレス製のものがあります。ばね材においてオーステナイト系ステンレス鋼のSUS304材が多く使われています。今回は、ステンレス鋼の主な3種類の特徴や用途、ばね材として使用するときの注意点について解説します。

実際にオーステナイト系ステンレス鋼「SUS304-WPB」を使用し、ねじりコイルばねを製造している動画です。

ステンレス鋼の特徴

ステンレス鋼の特徴はピアノ線よりも耐久性では劣るものの、熱や錆びに強く、耐食性があります。そのため、耐熱性が要求される製品に使用されるばね材に使われることが多いです。またステンレスは非磁性ですので、磁石にくっつきにくいという特徴もあります。注意点としては条件によっては錆びる場合もあります。 強い酸やアルカリにさらされたり、湿度が高いと腐食することもあります。

ステンレス鋼の種類と用途

ばね材にも使用するステンレス鋼の主な3種類を用途とともに説明します。

①オーステナイト系
オーステナイト系は、カーボン0.15%以下、クロム16〜20%、ニッケル8%以上を含むステンレス鋼です。唯一、ニッケルを含みます。他のステンレス鋼に比べ耐食性に強く、熱処理はできませんが靭性(ねばり強さ)があり、溶接性に優れているという性質を持っています。用途は広範囲にわたっており、家庭用品、建築用、自動車部品、化学工業、食品工業など幅広い分野において用いられています。そのためオーステナイト系は、全ステンレス鋼生産量の約60%を占めております。
主なオーステナイト系としてSUS303、SUS304、SUS316が挙げられます。ばね材では特にSUS304、SUS316を使用することが多くあります。

②フェライト系
フェライト系は、クロムを主成分としており、基本的にはニッケルを含んでおらず、硫黄を含むガスに対して腐食しにくく、また一般的な鉄と同じように磁性を持っているのも特徴です。
オーステナイト系に次いで、耐食性に優れ、熱処理をしても硬化が少なく軟質を維持することが可能なのでプレス加工に適しているという性質を持っています。例えば厨房用品、建築内装、自動車部品、ガス・電気器具部品などで、主に薄板および線の形で使用されています。主なフェライト系としてSUS430が挙げられます。

③マルテンサイト系
マルテンサイト系はカーボン0.1〜0.4%、クロム12〜18%を含み、ニッケルを含まないステンレス鋼です。熱処理によってマルテンサイトという硬い金属組織を形成するため硬度が高い反面、他の種類と比べると、厳しい環境において錆びやすく最も耐食性が劣るという特徴があります。
主なマルテンサイト系にはSUS403やSUS410が挙げられます。マルテンサイト系はステンレス鋼の中でも特に硬い材料なので、タッピン、ネジや刃物、シャフトなどに使用されます。また、高温にさらされる部品にも使用されます。

ばね材においてオーステナイト系ステンレス鋼のSUS304材が多く使われていますが、栄光技研株式会社ではSUS304材で提案させて頂く場合、線径にもよりますが、SUS304-WPBでご提案させて頂くことが多いです。ステンレス材での錆問題や材料の値上がりについてお困りの方は、まずはお問い合わせフォームまたはお電話でご相談ください。

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