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引きばねの設計のポイントである初張力の特徴と設計時の注意点を説明します!

2024年8月8日

引きばねの設計は初張力とフックの形状がポイントとなります。圧縮ばね(押しばね)と設計に関する基本式は同じですが、圧縮ばねに初張力はありません。また初張力は材料によっても異なります。今回は「初張力」の特徴と気を付けるポイントを解説します。

引きばねの初張力について

初張力は、引きばねを密着巻きにしたときに、接している線材の間に生じる内力のことです。コイル平均径と材料直径、初応力によって決まります。初張力の特徴は引きばねの不安定性が抑えられますが、荷重のバラつきが大きくなる恐れがあります。

初張力ありと初張力なしの違い

初張力を付けた引きばねは、初張力を超えた力を加えなければ、ばねのたわみを発生せず、少ないたわみ量で大きな荷重を発生させることが可能です。初張力の大きさは、製造する機械の能力や製造方法によって限界があります。
初張力をゼロにしたい場合は密着巻きではなく、ピッチ巻にする必要があります。また高初長力ばねといい、初張力を高く設計したばねもあります。

初張力のメリット

初張力のメリットは、引きばねの初張力を活用することで小さいスペースで高荷重を得ることができます。ばねの線径を細くしても、同じ荷重を発生させることも可能になるため、ばねの軽量化の手段として有効です。

初張力における注意点

初張力の注意点は、材料のクセと低温焼きなましです。ばねへの影響が大きく出るため注意が必要です。引きばねの初張力はばらつきが発生するため、正確に狙った大きさをつけることは困難です。成形後の焼きなましによって低下しますが、材質によって異なります。
減少の度合いを明確にするのは難しいですが、ピアノ線や硬鋼線は20〜35%減、ばね用ステンレス鋼線では15〜25%減少します。初張力の減少は、焼きなまし温度を下げることで緩和することができます。
ただしばねの耐久性やへたり性能の低下が伴うので、ばねの性能を満足する範囲内で行う必要があります。熱処理の1つである低温焼きなましについてはこちら。

初張力への理解が深まると、引きばねの設計も格段に設計しやすくなります。引きばねの設計についてはこちらです。

栄光技研株式会社は引きばねの設計や製造にも対応しています。引きばねの軽量化やコスト削減、引きばねのフック形状の折損・錆問題でお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。お問合せはTELやFAXでも承ります。

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