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圧縮ばね(押しばね)の設計に用いる記号や設計する上で気をつけるポイント

圧縮ばね(押しばね)を設計する上での注意点や公式に使用する記号について説明します。

ばねは同じ機能性部品であるねじや歯車と異なり、規格品が少なく設計者が設計することが多い部品の一つです。
コイルばねの一般的なものは押しばね(圧縮コイルばね)・引きばね(引張コイルばね)・トーションばね(ねじりコイルばね)の3つになります。設計方法はそれぞれ異なった方法となります。今回は押しばねの設計について説明します。

圧縮ばね設計のポイント

圧縮ばねを設計する際は、基本的な記号や用語の理解が必要です。以下に主要な用語を示します。

表1 圧縮ばね(押しばね)の基本用語一覧

ばね指数(c)はばねの加工性や寿命を設計する上で重要な値となります。

 計算式:

C=Dd


D :コイル中心径(mm)
d :線径(mm)
一般的に、4~22 の範囲に設定することが望ましいとされています。

圧縮ばねを設計するときの基本式

ばね定数や応力が設定できれば、線径や巻数、コイル径などを選定していきましょう。

●ばね定数(N/㎜)
ばねの硬さ(どれくらいの力でどれくらい縮むか)を表します。

κ=Gd48nD3

(記号の意味)
κ(カッパ) :ばね定数(N/mm)
G :横弾性係数(ばね材料ごとに異なる)
d :ばねの線径(mm)
n :有効巻数(実際に力を受けるコイルの巻き数)
D :コイル中心径(mm)
ばね定数が大きいと、硬くて縮みにくいばねになります。


●応力(Mpa)
ばねが荷重を受けたときに生じる「応力(材料の負担)」を求めます。

τ=8PDnd3

(記号の意味)
τ(タウ) :応力(MPa)
P :ばねにかかる荷重(N)
D :コイル中心径(mm)
n :有効巻数
d :ばねの線径(mm)
応力が大きすぎると、ばねが壊れやすくなるので要注意です。

●横弾性係数(G)
ばねの材料によって「横弾性係数(G)」が異なります。
横弾性係数は、材料の変形しやすさ に関係し、ばね定数の計算に必要です。主な材料の横弾性係数(G)は、表2によります。

表2 ばね材料の横弾性係数 一覧表

材料 Gの値
ばね鋼材

7.85×104

硬鋼材
ピアノ線
オイルテンパー線
ステンレス鋼 SUS304

6.85×104

SUS316

6.85×104

SUS631

7.35×104

黄銅線・洋白線

3.9×104

リン青銅線

4.2×104

ベリリウム銅線

4.4×104

(参考文献:はじめてのコイルばね設計 山田学 日刊工業新聞社

圧縮ばね設計時の注意点

押しばね設計時の注意点は大きく分けて2点です。
1.応力を低めに設定する
  繰り返し使うばねや高温環境で使うばねなどは長持ちするように応力を低めに設計することが重要です。
(例)線径を太くする・有効巻数を増やす など

2.設計上は問題なくても、実際の製造が難しいことがある
線径が細すぎる、コイル径が小さすぎるなどの場合、製造が困難なことがあるので、現場の製造担当者と相談しながら設計することを推奨します。

栄光技研株式会社では、加工不可の形状でもできる形状でもご提案します。押しバネの加工性や寿命でお困りの方はお気軽にご相談ください。お問合せはTELやFAXでも承ります。
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