ピアノ線は、自動車部品や機械装置のスプリングなど、幅広い工業製品に使用される代表的なばね材です。特に高い引張強度を持ち、強度・耐久性のバランスに優れているのが特長です。今回は、ピアノ線の材質別引張強度の違いや防錆対策のポイントについて解説します。
実際に、SWP-Bのピアノ線を使用してトーションばねを製造している様子を動画です。
ピアノ線とは?材質の種類と特徴
ピアノ線は、JIS規格で以下の3種類に分類されています。ピアノ線の特徴について詳細はこちら
材質名 |
特徴 |
主な用途 |
SWP-A |
安価・汎用性あり |
建築用スプリング、玩具など |
SWP-B |
機械的性質と加工性のバランスが良い |
自動車のブレーキ、シート、シャッターばねなど |
SWP-V |
高強度・高温環境に強い |
エンジン部品のバルブスプリングなど |
当社で製作したピアノ線を使用した実績や事例についてはこちらをご覧ください。
ピアノ線の引張強度を比較
引張強さとは、材料に力を加えて引っ張ったとき、どのくらいの力で切れるかを示す値(最大応力)です。ばね材の設計では、使用荷重に対して十分な引張強度があるかどうかが非常に重要なチェックポイントになります。
(参考URL:引張強さとは?引張試験や応力-ひずみ曲線(S-S曲線)の見方について | 特殊金属エクセル)
ピアノ線の代表的な線径のみ引張強さを表にまとめたので、ご参考にしてください。
|
SWP-A |
SWP-B |
SWP-V |
線径1㎜ |
2060~2260N/㎟ |
2260~2450N/㎟ |
2010~2210N/㎟ |
線径4㎜ |
1670~1810N/㎟ |
1810~1960N/㎟ |
1670~1810N/㎟ |
※SWP-Vは線径1㎜から
ピアノ線の防錆対策と使用環境の注意点
ピアノ線や硬鋼線は空気や湿気で簡単に錆びる性質があります。そのため、使用環境に応じて以下のような処理が必要です。
●防錆油の塗布
●めっき処理(亜鉛・ニッケルなど)
●塗装処理
それでも錆が避けられない使用環境では、ステンレス材(SUS304-WPBなど)への切り替えを検討しましょう。
栄光技研株式会社では「強度は足りるけど、錆が心配」「複雑な形状だけどピアノ線で加工できる?」といったご相談から、コスト削減に関するご提案も可能です。お困りの方はぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせフォームはこちら