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もっと知りたい 技術コラム

ばね材のピアノ線の特徴・用途や成分、種類の違いについてポイントを解説します。

ピアノ線は硬鋼線よりも信頼性が高く、身近な製品というより、どちらかといえば工業製品に使用されるばね材です。引張強度が高いだけでなく、ばね材の硬さや耐疲労の面でも、高い信頼性を持っているばね材です。

実際にSWP-Bを使用してねじりコイルばねを製造している動画です。

楽器のピアノにも使用している?!

「ピアノ」と名称についていますが、ピアノ線は一般的に工業用のワイヤーのことを言います。楽器用ピアノ線に関してはミュージックワイヤー(music wire)と呼ばれ、音のむら防止や使用時の負荷を考慮しているので、工業用のピアノ線より高品質となります。

ピアノ線の特徴・用途

ピアノ線はJIS規格で「SWP-A」、「SWP-B」、「SWP-V」の3種類です。
ピアノ線の用途としては、SWP-Vは主に船舶や自動車などのエンジン部品の弁バネに、SWP-AやSWP-Bはブレーキやクラッチの部品として使用されます。ベットのスプリングや建築用途のシャッタースプリング、自動車のシートスプリングにも使用されています。

強度はSWP-BはSWP-Aより引張強さが約10%高いです。弁ばね用に使用するSWP-Vは、キズ深さと脱炭深さをA・B種より更に厳しく規定しています。ただし、ばね材としてピアノ線を使用する場合、気をつけるポイントは通常の鉄系の材料と同様、防錆処理をしなければ、錆が発生します。

ピアノ線の成分

ピアノ線材はP,S,Cuなどの不純物が厳しく管理されています。(表①)
線材のきず、脱炭についても腐食試験の結果、きず深さが0.1mm以上あってはなりません。脱炭検出試験の結果、全炭層の深さが0.07mm以下でなければならないとされています。ピアノ線にしかない基準となっています。(参照URL:ピアノ線の成分について

表①ピアノ線材の化学成分表

種類記号

化学成分

C(炭素)

Si(ケイ素)

Mn(マンガン)

P(リン)

S(硫黄)

Cu(銅)

SWRS82A

0.80~0.85

0.12~0.32

0.30~0.60

0.025以下

0.025以下

0.20以下

SWP-AとSWP-Bの材質の違いについて

SWP-A(A種)とSWP-B(B種)の違いは、材料強度です。B種の方がより高い強度を持ちます。しかし加工性は悪くなりますので、ばねの使用用途によって使い分ける必要があります。
A種は許容最大応力も高く、繰り返し荷重に対する疲れなどに好ましい特性をもっています。B種は設計上どうしても高い引張り強さ、耐へたり性を要求されるばねには適当ですが、きびしい成形加工などで問題となる靭性面では、A種よりも若干劣ります。

(参考URL:A種とB種の違いについて

栄光技研株式会社では、使用環境に応じて、ばねの設計提案も可能です。
まずは、こちらからお気軽にお問い合わせください!電話(TEL072-881-3556)でのお問合せも可能です。

 

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