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もっと知りたい 技術コラム

オーステンパー処理がどんな部品に向いているのか、メリットや注意点を詳しく説明します!

2024年8月7日

オーステンパー処理は、ばねの靭性や耐久性を上げるための熱処理です。ただし全ての製品がオーステンパー処理を行えるわけではありません。ここではオーステンパー処理によるメリットや注意点を説明します。

オーステンパー処理とは

オーステンパー処理は等温変態処理やベイナイト焼入れとも呼ばれています。焼入れ温度に加熱した鋼を300〜400℃の一定温度熱浴(ソルトバス)に急冷し、一定時間保持する熱処理です。オーステンパー炉で処理された製品は通常の焼入れとは異なり、ベイナイト組織が得られます。ベイナイト組織とは、通常の焼入れ焼戻し処理で得られる組織よりも延性、衝撃値などが向上し、靭性や耐久性に富んだ組織です。

オーステンパー処理のメリット

オーステンパ処理を行う対象製品は、小型部品が多く、クリップや薄板ばね、ねばり強さが必要な製品に対し効果を発揮します。加熱温度と焼入れ温度の差も小さいため歪みが少なく、焼き割れが無いなどの特徴があり、処理後は焼戻しの必要もない処理になります。
つまり次のようなメリットが挙げられます。

①焼き戻しの必要が無い
②ひずみや寸法変化が極めて少ない
③特定の硬さで強靭の性質が得られる

オーステンパー処理の注意点

オーステンパー処理を行う時には、次のような注意が必要です。

①オーステンパー処理可能
炭素含有量がS60C(0.6%含有)相当以上なものかつ1.6〜3.2㎜程度の鋼材の板厚のものでないと安定した組織を得ることができません。
②硬度
オーステンパー処理では高硬度は得られないので、硬さが重要な製品は適していません。
③運用コスト
オーステンパーに使用するソルト(溶解塩類)は焼入れ油に比べて、コストが高く、維持管理に費用が掛かります。

栄光技研株式会社では一般的にばねの熱処理は低温焼きなまし処理を行っております。ばねの熱処理についてお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。

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