切削加工に使用する材料は「加工しやすい材料(快削材)」と「加工が難しい材料(難削材)」があります。今回は難削材について、よく使われる材料を例に挙げながら、代表的な難削材と特徴について説明します。快削材について詳細はこちら。
難削材とは?
難削材とは切削加工が難しい材料のことです。難削材が削りにくい主な理由は以下になります。
- 材料自体の硬度が高い
- 熱伝導率が低い
- 粘り気が強く、工具とくっつきやすい
- 加工硬化を起こしやすい
工具の摩耗が早くなり、加工コストが上がるだけでなく、仕上がり精度や表面粗さにも影響が出ることがあります。
代表的な難削材と特徴
代表的な難削材と特徴について各材料ごとに説明します。
● ステンレス鋼(SUS304, SUS316など)
ステンレス鋼は錆びにくい鉄として非常に多くの産業で使われている金属材料です。耐食性、耐熱性に優れ、食品・医療・化学・水回り・建築など幅広い分野で活躍しています。ステンレス鋼を使用した金属加工部品はこちらから
ステンレス鋼が難削材といわれる理由は3つあります。
①加工硬化:削るたびに硬くなるので工具がすぐ摩耗してしまう
②熱がこもる:工具が焼き付きやすいため、寿命が短い
➂切りくずが絡む:工具にからみ、仕上げに悪影響が出る
系統名 | 代表例 | 特徴 | 加工性 |
オーステナイト系 | SUS304、SUS316 | 非磁性・耐食性◎ | △(加工硬化しやすい) |
フェライト系 | SUS430 | 磁性あり・比較的安価 | ○(加工性良好) |
マルテンサイト系 | SUS440C | 硬くて強い・耐摩耗性◎ | ×(非常に難削) |
● チタン合金(Ti-6Al-4V など)
チタン合金は軽くて強く、腐食に非常に強いという特徴を持つ高機能金属です。航空宇宙分野(航空機の部品、ジェットエンジン周辺)や医療分野(人工関節、インプラント)などで使われています。
難削材といわれる理由は大きく分けて3つあります。
①熱がこもる:工具が焼き付きやすいため、寿命が短い
②工具と反応しやすい:高温になると、工具と材料が化学反応を起こしてしまう。コーティング工具でも摩耗しやすい。
➂たわみやすい:削るときに材料がしなったり振動したりしてしまい、寸法がズレたり表面がガタガタになることがある。
● 耐熱合金(インコネル、ハステロイなど)
耐熱合金とは、高温でも強度や形状を保ち続ける特殊金属材料のことです。主にニッケル基合金やコバルト基合金があり、過酷な環境で使われます。
難削材といわれる理由は以下の3つです。
①切りくずが長くて絡みやすい
削ったときに出る「切りくず」が長く続くため、工具に巻き付いてしまいトラブルの原因になる。
②熱で刃物とくっつきやすい
高温になると、材料と刃物が反応して「焼き付き」が起きやすく、刃先がすぐに摩耗する。
➂熱で変形しやすい
加工中に材料が熱を持ちすぎて、寸法がズレたり、バリや反りが出たりして、正確に仕上がらないことがある。
栄光技研株式会社ではステンレス鋼などでの旋盤加工品をQUICK TURN 100 MSYにて製造しています。難削材での材料選定や加工条件などでお困りの方はぜひお気軽にお問い合わせフォームでご相談ください。
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