ねじりコイルばねは、レバーの復帰や回転動作を支える重要な部品です。
医療機器・住宅設備・自動車部品など、幅広い分野で使用されていますが、設計時には角度が合わない・戻りが悪い・力が足りないといった問題が起こりがちです。
今回は、車椅子の駐車ブレーキに使われているねじりコイルばねを例に、設計で押さえるべき3つのポイント(荷重・材質・形状)を分かりやすく解説します。
実際にねじりコイルばねを製造している動画です。
ねじりコイルばねとは?
ねじりコイルばね(トーションばね)は、コイルの両端(腕)に力を加えることで回転運動や復元力を生み出すばねです。レバーやシャッター、ロック機構などに多く使用され、荷重や動きに応じた設計が求められます。
設計でよくあるトラブル例
設計現場では次のような相談が多く寄せられます。
・アームが干渉して組付けできない
・設計上は動くはずなのに戻らない
・強度を確保したら操作が固すぎた
・現物合わせで進めてしまい、コストが高くついた
これらの多くは、「荷重」「自由角」「アーム形状」の設計でバランスが取れていないことが原因です。
当社で製作したねじりコイルバネの製作実績はこちらからご覧いただけます。
車椅子のブレーキ事例に学ぶ、ねじりコイルばね設計の3つのポイント
車椅子の駐車ブレーキには、タイヤをしっかりロックしながらも、レバー操作はスムーズでなければなりません。そのため、ねじりコイルばねの設計では以下のポイントが重視されます。
1.荷重と自由角
●線径:1.0〜3.0mm
●荷重が強すぎると、レバー操作に大きな力が必要
●荷重が弱すぎると、ブレーキがしっかりかからず危険
適正な荷重は、ばねの**自由角度(未荷重状態での角度)**と組み合わせて設計する必要があります。
2.材質選定
●ステンレス線(SUS304):耐食性・見栄え・耐久性に優れる
●ピアノ線(SWP-B):高い強度が必要な場合に使用、表面処理が必要
使用環境やコストに応じた材質選定がポイントです。
3.アーム形状
●多くはフック形状
●部品とのかみ合わせや動作角度によってはL字・U字・ストレート形状を採用することもあります。
わずかな形状差が引っかかりや戻り不良の原因になるため、ばね単体の性能だけでなく、組み込み先の公差や荷重条件を踏まえた設計が重要です。
トーションバネの設計時に押さえておきたい荷重についてはこちら
ねじりばねは形状や荷重の自由度が高いため、現場ごとにカスタム設計されることが多いです。その分、設計段階での調整が全体の性能・操作性に大きく影響します。
栄光技研株式会社では、ばねの用途や組付け状態をヒアリングしながら、最適なねじりコイルばねをご提案しています。図面がまだ完成していない段階でもOKです。「荷重をどう設計すべきか」「線径や材質で迷っている」といったご相談もお気軽にお寄せください。
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