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もっと知りたい 技術コラム

設計した(製作した)ばねの破損が起こってしまった時どうすればよい?破損の3つの原因と対策について説明します。

2024年8月19日

ばねには多くの性能が求められますが、最も重要なことは長期にわたってばねの機能を維持すること、すなわち破損やへたりが生じないことです。特にばねの破損は突然発生すると、思わぬ事故に繋がることがあります。今回はばねの破損の原因と対策について説明します。

ばねの破損について

破損とは、ばねが壊れてしまう現象のことです。ばねの種類や破損原因によって、ばねの壊れ方は異なりますが、「ヒビ割れ」「断裂」「折損」「原型を留めない大きな変形」などが挙げられます。
ばねの破損と折損の違いは、「破損」はばねが壊れてしまうこと、「折損」は破損の一種で、ばねが折れて壊れることを指します。折損のトラブルについて詳しくはこちらのブログをご覧ください。

ばねの破損原因

ばねの破損原因は「使用者」「製造元」「経年劣化」の3つに分類することができます。

1.使用用途や使用方法に原因がある場合
ばねを選ぶ際に使用用途や使用環境に適さないものを選んでしまったり、ばねを使用する際の使用方法に問題があります。
使用用途に適さない例は、ばねには吸収できるエネルギーに限界があるにも関わらず、エネルギー量を数値化せずに選んでしまうと、結果的にばねが許容を上回るエネルギーを受け、破損してしまうことがあります。使用方法に問題がある場合の例は、設計などの問題から、小さなスペースに無理やりばねを組付けてしまうと、最終的にはばねが他の部品と接触して破損したり、周りの部品を傷つけてしまうことがあります。

2.製造過程に原因がある場合
使用者側は使用用途や環境に合った適切なものを選んでいるにも関わらず、製造過程が原因で破損をする場合があります。
製造過程に問題がある場合の例として、ばねを製造する際の熱処理や材料加工時の不具合などの問題があります。熱処理は、ばねの形を安定させたり強度や耐久力を向上するために行われますが、熱処理が不十分だとばねは常に不要なエネルギーが留まり続けてしまうため、動作不良を起こしたり破損の原因となってしまいます。(熱処理についてはこちらをご参考ください。)

3.経年劣化
経年劣化については使用回数による製品寿命もあり、きっちりとした設計、使い方をしていても起こりうる事象です。使用回数や製品寿命は設計段階のルールに記載されていると思いますので、ばねの設計や製造を行った製造メーカーに相談されると良いと思います。

ばねの破損を回避するには

ばねの破損を防ぐには下記4点を注意し、ばねの設計や使用用途を見直すことをおすすめします。

①用途に合った材料を選定
②ばね製造時の加工方法の見直し
③過大な応力をかけない設計 
④材料の耐力、疲れ強さなどの向上を目的とするテンパー処理(熱処理)を施す

もしばねの破損が起こるか心配な場合、試作から行われると良いと思います。

(参考URL:へたり?変形? ~ばねに関するトラブルが起こる理由

栄光技研株式会社では、ねじりコイルばねや線加工品での破損の解決実績があります。ばねのトラブルや選び方について疑問や不明点がある方はぜひお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話でご相談ください。

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