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引きばねの設計に用いる記号と設計する上での注意するポイント

2024年8月8日

引きばねは同じ機能性部品であるねじや歯車と異なり、規格品が少なく設計者が設計することが多い部品の一つです。
設計方法はそれぞれ異なった方法となります。今回は引きばねの設計に用いる記号と設計する上での注意点について説明します。 

引きばねの各寸法の名称

まずは引きばねの計算式に用いる記号と意味を理解しましょう。

表1 引張りばね(引きばね)の基本用語一覧

ばね指数(c)はばねの加工性や寿命を設計する上で重要な値となります。
コイルの中心径(D)÷ 線径(d)=ばね指数(c)
一般的には4倍〜22倍の範囲に設定することが望ましいです。

引きばねの基本記号を理解した上で

ばね定数や応力が設定できれば、線径や巻数、コイル径などを選定していきましょう。

引きばねの基本公式
ばね定数(N/㎜):==Gd8nD3

応力(Mpa):8PDd3

 ばね定数(N/㎜):$ κ=\frac{ρ}{δ}=\frac{Gd^{4}}{8nD^{3}} $
 応力(Mpa):$ τ=\frac{8PD}{nd^{3}} $

P

荷重(N)

δ

たわみ(㎜)

d

材料線径(㎜)

D

コイル中心径(㎜)

G

横弾性係数(Mpa)

n

有効巻数

・横弾性係数(G)
ねじり応力、せん断応力の計算をするときに使用します。主な材料の横弾性係数(G)は、表2によります。

表2 ばね横弾性係数 一覧表

材料 Gの値
ばね鋼材 $ 7.85×10^{4} $
硬鋼材
ピアノ線
オイルテンパー線
ステンレス鋼 SUS304 $ 6.85×10^{4} $
SUS316 $ 6.85×10^{4} $
SUS631 $ 7.35×10^{4} $
黄銅線・洋白線 $ 3.9×10^{4} $
リン青銅線 $ 4.2×10^{4} $
ベリリウム銅線

$ 4.4×10^{4} $

 引きばね設計する時の注意点

引きばねの設計する時の注意点は、残留応力・初張力です。引きばねはフック部の応力も重要です。フック起こし部分の曲げRを大きく取ることで応力集中を避けます。複雑な形状にすると応力集中が生じて、折損の不具合が発生しやすくなります。

引きばねの特性を理解し、どういう使われ方をするかを理解して仕様決定することが大事です。
具体的にはどんな環境で使われるか?などによって使用すべき材質や材料強度が変わってきます。
全く同じ仕様のばねでも、使われ方が変われば壊れてしまうこともあるということも念頭において検討を行う必要があります。

栄光技研株式会社では、引張りばねの折損防止策のノウハウもあります。(詳細はこちらのブログをご覧ください。
お問合せはTELやFAXでも承りますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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