ばねを設計や製造、使用する際にはばねが起こすトラブルについても理解が必要となります。ばねのトラブル、疲労破壊についての特徴や対策について説明します。
目次
ばねにおけるトラブル
ばねにおける主なトラブルはへたり、変形、折損、ケガ、錆の5つです。折損には加工時と使用時の折損がありますが、疲労破壊は使用時の折損が起こりやすい現象になります。分かりやすく図解にすると下記図になります。(引きばねの折損について詳しくはこちら)
疲労破壊とは
疲労破壊とは、材料を長期間に渡って繰り返し力を加えると、1度の負荷では破壊しないような荷重でも亀裂が発生し、最終的に破壊に至る現象です。疲労破壊は金属材料の破壊として代表的ですが、樹脂などの材料にも起こり得ます。疲労破壊は機械部品の破壊の種類の中で最も件数が多いです。
疲労破壊の特徴
金属材料の疲労は、金属の結晶面がごくわずかずつ移動する「すべり」と呼ばれる塑性変形(力を取り除いても形が元に戻らない)が原因です。
疲労破壊の特徴として4つ挙げられます。
1.繰り返し応力が使用する材料の引張強さや降伏点以下でも破壊に至る
2.目に見えるような変形と関係なく破壊が発生する
3.負荷応力の大きさが大きいほど繰り返し力を加えられる回数が少なくなる
4.部品や材料の最も弱い部分に集中して発生する
疲労破壊を防ぐには
疲労破壊を防ぐには下記4点を注意し、ばねの設計や使用用途を見直すことをおすすめします。
①用途に合った強度の高い材料を選定
②ばね製造時にキズなどの表面欠陥を作らないようにする
③過大な応力をかけない設計
④材料の耐力、疲れ強さなどの向上を目的とする低温焼きなましを施す
さらに疲労破壊が発生するか不安な方は、疲労試験機というものもあります。材料の疲労強度を求める疲労試験と、ばね自体の疲労強度を求める試験の2種類あります。
(参考URL:第37回 ばねと疲労)
栄光技研株式会社では耐久試験機でばねを管理しています。押しばね、引きばね、トーションばね、線加工品で疲労破壊についてお困りの方はぜひお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話でご相談ください。